その瞳に映るモノ 第4話-③
本来、高校生たるもの日曜日には遊びに行かなければならないという世の中で、俺はなぜか今、女の腕をとって自宅へと帰ったところだった。それも、相手はねっとりとした色気を醸し出すお姉さんでもなく、かといって遊びたい盛りのキャピキャピの女の子でもない。しかも、真っ昼間で相手は今にも泣き崩れそうに涙を流す、いかにも俺みたいな男にとってはめんどうくさそう優等生の女。
せめてこれが、妹のメイちゃんだったら・・・。少し前までなら、そう思っていたのに。思っていたはずなのに・・・。どうしちまったんだ、俺は?
「はぁ・・・」
「・・ぁ・・あの、先輩。私、やっぱり」
「いいから、入れよ」
俺に痕が残るんじゃないかってくらい強く腕を握られていた牧原サキは、さっきからのちょっとした俺の態度にいつも以上にビクビクしてやがる。そんな情けない態度にイライラして、何度も舌打ちを繰り返すのだが、本心では今の状況を作り出した自分へのため息が繰り返されていた。また、これだ。最近になって気づく、牧原といるときの『気がついたら、こうしてた』の行動。無意識のうちに牧原に対して行っている行動であって、同時に俺自身の気に入らない行動でもあった・・はず、だろ?
「私、本当にもう大丈夫なんで・・」
「そこらへん、座ってろ」
「・・ぁ・・・・はい」
やっとこさ止まりかけている涙を拭いながら、この場をどうにかして帰ろうと言い訳する牧原の言葉を無視して、いつもの命令口調で言ってやれば、牧原の方もやっと観念したように静かになった。そして、ほぼ初めて来るであろう他人の男の部屋を、そわそわと落ち着きなく見渡す。だけどさ、男の一人暮らしなんざ、基本的に必要最低限の物しか置いてない。インテリアらしいものと言えば、ここに引っ越してきた時に荷物整理を手伝った姉貴が、勝手に飾り付けたものが少し。俺が台所に言っている間、そんな質素な面白味もない部屋で一枚の写真に目を止めていた。
「これ・・・・・ご家族の写真ですか?」
「ああ?・・あ~、それな。うん、まぁ」
「素敵な写真ですね」

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