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2006年7月23日 (日)

ソウルイーター~能力者の手引き~第1話-1

あちこちでセミが鳴き始め、季節は夏をむかえている。日本特有の湿気と暑さに多くの人々が参っていた。そんな暑さの中、冷房が効かない教室での退屈な授業をうけている生徒たち。ここは、どこにでもあるような平凡な私立高校である。


「あ~~じ~~い~~~」


そのなかでも特に、この暑さと授業のせいか、だらけまくっている生徒が1人。

彼は2年3組、塔崎 涼平(トウザキ リョウヘイ)。その容姿は非常に良いと言える。

髪は黒くツンツン状態で、瞳は少し茶色をおびている。今は制服のワイシャツのボタンを上から2つ外して、そのだらけた格好で机の上に寝そべっている状態。

長身で男らしい少し筋肉質な体で運動もできる。授業は全くといっていいほど聞いていないのに、なぜか成績はいつも学年でも上位を争うほど。


こんな彼がモテないはずはない。実際、一週間に5人は告白されるというほどだった。

男子からは、うらやましさと妬みの目線が向けられている。

だが、本人はというと自分がモテルことも、男子からの痛い目線も、まったく気付いていない。

それを知ってか知らずか、告白をされても全部断ってしまう。ひどいときでは、告白されたことにさえ気付かない場合もしばしば・・・。

はっきり言って彼は、近年まれ見る鈍感な性格なのである。


「校内1のハンサムボーイが、いま世界一ギネス級のバカに見えるのは僕だけかな?なぁ、りょ・う・へ・い・くん?」


そんな涼平にあきれ半分、からかう気満々に会話をするのが涼平の親友、瀬木 隼斗(セキ ハヤト)。

隼斗もまた、涼平に負けず劣らずのモテよう。涼平と同じく、容姿も良く運動も出来るし、成績優秀。身長は涼平より少し低いくらい。

髪は真っ黒はサラサラで、瞳も黒。キツイ度入りのオシャレなメガネをかけている。

制服もきっちりしているとは言えないが、少なくとも涼平よりは整っている。


いろいろと涼平と似ているところはあるが、全く違うところが、ちらほらと。

その違っている部分が、また隼斗の魅力を引き立てているのだろう。

隼斗は自分の魅力をフル活用しているのだ。彼こそ本当のプレイボーイといえる。

今までの中学・高校生活で80人以上の女子と付き合ったことがある。本人いわく、「新しい出会いを求め続けるから」らしい。そんな彼も現在はフリーであった。


2人の違いは性格。隼斗の性格は、涼平と真逆。涼平は鈍感で、ぼけっとしているし、反対に隼斗は、いつも冷静で観察力が鋭い。

そんな2人だが、2人いわく「「一緒に居て1番飽きない」」とか。

女子にとっては、この2人のツーショットは見逃せない。

今だって、授業中にもかかわらずクラスの女子が、ちらちら2人の方を見ている。

「カッコイイ!」と小さく黄色い歓声をあげている生徒があちこちに居る。


「気持ちわるい呼び方するんじゃね~よ、隼斗。暑いものは暑いんだからしょうがね~だろ!!俺は年がら年中、女に囲まれて暑さに慣れてる誰かさんとは違うんだよ」

「まぁまぁ、そうイライラしないで。僕もこの暑さには参ってんだから。暑いっていうと余計に暑くなるだろ?それに女の子達に囲まれてる時の暑さと、この暑さは違うさ」


涼平の前の席に座っている隼斗が、彼の頭を軽くポンッと叩く。ちなみに今は授業の真っ只中。

しかしながら、彼らの成績には担任も有無を言えず、どれだけバカにした態度を取っていても注意することが出来ない。


「俺には、分かんね~な。だいたい女となんか遊んで何が楽しいんだよ?」

「まったく君はわかってないねぇ~。涼平だって1回くらい誰かと付き合ってみたら?君と付き合いたいって子なんか腐るほどいるよ。告白してきた子を次から次にふるなんて罪だよ、涼平」

次から次へと女、変えてるようなヤツのくせに何が罪だよ・・・・


明後日の方向を向きながら、小声で1人つぶやいた。この場合、100%隼斗が気付かなかったことはない。

当然のように彼が隼斗の方に向き直ったときには、そこには黒い笑みを浮かべた魔王が・・・ではなく、隼斗がいた。


「何か言ったかい?涼平?【黒笑】」

「べ、別になにも!!【汗】」


涼平は隼斗には絶対、口答えできない。隼斗の黒き笑みを見た日には、ぐっすり眠るなんてことは許されないのだった。

そんな話をしているうちに1日の授業の終りを告げるチャイムがなる。

部活をやっていない2人だが、すぐ帰るわけでもなく教室に残って話を続けていた。


「でもさ~。こんなプレイボーイな僕でも付き合ってみたいけど、まだ進展なしな子がいるんだよねぇ」

「(プレイボーイって自分で言うか?ふつう~)」

「言っちゃあ、悪い?【にっこり】」

「はう?!(何で心の声まで聞こえるんだよ!!【汗】)」


隼斗の新技(?)に少々焦る涼平。何度、目を閉じてココに居るのは親友ではないと思いたかったことか。数年後の彼の伝記には、そう綴られていることを2人はまだ知らない。そのあとも、いつもは興味がない恋愛の話も親友の珍しい行動に、少々警戒しながらも話の先を促した。


「・・・そ、それにしても、おまえにしては珍しいな。気に入った女と進展なしなんて。で、誰なんだよ?」

「おぉ、そんなに聞きたいか、我が親友よ!!僕の恋愛を心配してくれているんだな?さすがだ!親友の塔崎 涼平くん!!」


隼斗は、大げさに両手をあげて片足をいすの上にのせる。するとまだ教室に残っていた女子からは、「キャー」と言う黄色い歓声がおこる。プレイボーイは何をしてもカッコイイものなのだ・・・。周囲の声も日常茶はんじとでも言うように、さらっとながし話をすすめた。


「隼斗。もったいぶってないで、さっさと言えよ」

「OK.OK.僕が狙ってる子っていうのは・・・」


周りに聞こえないように顔を寄せて、小さな声で話し出す隼斗に思わず涼平が息を呑む。


「花月 紅美(カツキ クミ)ちゃんだ!!」


涼平は隼斗の予想外の答えに固まってしまう。どうやら、隼斗が小声で話そうとした行為は全く無駄だったようだ。隼斗の声は十分大きかったし、そのうえ周囲の生徒(おもに女子生徒)の耳にも届いていた。彼は涼平をニコニコと見ている。しばらくしてから


「はぁ?!花月 紅美って、同じクラスのあの花月か?!」

「そうだよ。よくご存知で」


呆れて周囲も気にせず大声でしゃべる涼平。そんな涼平も気にしないかのようにさっきにまして笑顔で答える。幸い同じクラスの花月 紅美と呼ばれた女の子は今、教室にはいない。彼女も部活に入っていないので、もう帰ってしまったのだろう。


花月 紅美とは、涼平や隼斗と同じクラスで、今年の4月に転校してきた女子のことだ。漆黒の髪のポニーテール。瞳も髪と同じく黒。誰から見ても美人で成績優秀。美人なんだが、服装とか外見がダサい。見た目の第一印象はバッチリだったのだが、後から彼女の態度は誰に対しても素っ気無いことが判明。友達をつくる気なんてなんて、さらさらないといった感じだった。

いつも休み時間にはいつの間にか居なくなって、いつの間にか帰って来ている。彼女が何処で何をしているのか誰も知らない。しかし、授業の時間には、きっちり帰って来ているのであえてとよかく言う人もいないのだ。

イジメの対象というより近寄りがたいイメージがあったし、現上、彼女に近寄ってくる人はほとんどいない。本人も気にしているわけでもない様子。どちらかというと涼平の苦手なタイプでもある。そんな彼女を親友が狙っているとなると止めずにはいられなかった。


「あいつだけはやめとけよ、隼斗」

「なんでだよ!キレイだろ?紅美ちゃん。ちゃんとしゃべってみたら絶対イイ子だって!」


うっとりと目を潤ませながら話す彼を、少し気持ち悪いと思いながら目を逸らす。さっきの隼斗の激白を聞いてしまった哀れな女子生徒(大半が隼斗のファン)が皆で寄り添い涙を流している。そんな彼女等が涼平の目に入り、哀れな気持ちと、どうしてこんなバカがイイのかと内心思っていた。


「キレイか、どうかは微妙だぞ?髪型とか服装とかダサいし。極め付けが、あのメガネだよな。何だよ、あの牛乳ビンの底みたいなのは。マジで、あんなのがあるなんてこと事態にビックリだぜ!だいたいイイ子ってなぁ、おまえ花月としゃべったことないだろ?」

「ないよ。それがどうした?僕がイイ子って思った予想は必ずあたる!今までだってそうだっただろ?」


そう、隼斗の、この類の予想や感はほとんどの場合、当たる。

(そりゃあ、もう怖いくらい・・・。By.涼平の体験談より)


「そら今までは当たってたけど、花月は今までの奴とは違うだろ?」

「なに言ってんだよ、涼平!今までの子と違うからこそ、だろ?」


そう言っている隼斗は、かなり得意げに今までにあまり見たことない、というか見せたことのない笑顔で1人はしゃいでいた。長年、親友をしている涼平には、今回の隼斗が本気であることがわかって正直、呆れてしまう。しかし、言葉に出すと後が怖いので浮かれた隼斗を黙ってみていることしか出来ない。

そんな会話をしている時、帰ってしまったと思われていた隼斗のお目当ての彼女が教室に戻ってきていた。当然それを隼斗が見逃すわけがなかった。


「おい、涼平。紅美ちゃん戻って来たみたいだ。忘れ物でもしたのかな?いつも学校、終わったあとは図書室いってそのまま帰るのに」


当たり前のように玲の行動パターンを話す隼斗に涼平はギョッとする。


「おまえ、あの花月の行動パターンまで知ってるのか?」

「当たり前だろ!本命って決めた子は事細かに調べてあるに決まってる!」


ここまでくると呆れを通り越して尊敬だ。


「紅美ちゃ~ん!!どうしたの~?」


涼平が飽きれている間に勢いづいた隼斗が、知らぬ間に紅美に話しかけていた。止めなくては!が、関わりたくない涼平は後ろで他人のふりをきめこんでいることに。こういう所に、彼のへたれ加減が出てしまう。一方、紅美は話しかけられるなんて思ってもいなかった人物から声をかけられ少々、驚きを隠せないようだ。だが、そこは近寄りがたいと有名な紅美である。


「瀬木くん、何かよう?わたし急いでいるの」


と、プレイボーイの隼斗に対しても冷たい返事をかえす。実際、本当に急いでいるようで、いつもよりは少々、慌てていた。ポニーテールにしていても、背中の中腹くらいまである髪が彼女の息と合わせて上下する。


「急いでるのにゴメンね。どうしても紅美ちゃんと話したいなぁ~と、思って~」


冷たい紅美の返事を気にすることなく、隼斗はのろけ調に話しだす。いつも女子と話すときはキリッとした様子だが、紅美が本命とだけあって他の女子とは態度が全くもって違う。もちろん、隼斗のファンからは嫉妬の矢じりが痛いほど、とんでくる。


「残念だけど、わたしはあなたとなんか話すことはないし、話したくもない。どうせ話すんだったら、周りでうるさく言ってる女の子とか、あなたの後ろにいる、へたれ君とでも話してなさい」


そう言うと早足で教室を出て行ってしまった。


「なんだよ、あいつ。ホント態度、わりぃーやつ。へたれって言いやがった!!」

「カワイイ!!か~なりカワイイって!!なぁ、涼平もそう思わないか?!」

「はいぃ?あの今の花月の態度ちゃんと見てたのかよ?」

「当たり前だろ。ちゃ~んと見てたさ!!すっげー美人だった!!」


今の隼斗には涼平の声も聞こえていないらしい。永遠と紅美のことについて1人で語る隼斗。涼平は、とうとう呆れてものも言えなくなってしまった。







しかし

何の変わりのない

彼らの

この日常に転機が訪れるのも

もうすぐそこの




未来

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